eラーニングでは、伝える情報の中身(=コンテンツ)が大切です。
ただし、コンテンツをいくら練り上げても、受講者がそれを理解し、記憶し、行動に移さなければ意味がありません。
ここでは、どのようにすれば受講者に伝わり、記憶に残るかに焦点を当てて、お話ししたいと思います。
最初に、記憶のメカニズムについて、文献から引用します。
【 記憶の多重貯蔵モデル 】
英語でMulti-store model。1968年に、AtkinsonとShiffrinが打ち出したもので、Atkinson-Shiffrin Model と言われる。
- 感覚記憶(Sensory memory)
- 情報(刺激)が捉えられ、ごく短時間記憶されるもの
- 短期記憶(Short-term memory)
- 感覚記憶の内必要なものが、短期的に記憶されるもの
- 長期記憶(Long-term memory)
- 短期記憶が長期に記憶されるようになったもので、宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)、手続き記憶に分かれる。
※正確には、短期記憶、長期記憶を打ち出した後、感覚記憶が追加された。
(出典:日本企業はどこにいる-次世代型ラーニング・オーガニゼーション構築を目指して-)
このように、何かを覚えるという人の行為にも種類があり、eラーニング・コンテンツが記憶されるためには、このメカニズムに合った内容を準備しなければなりません。例えば:
(1)繰り返し行い、習慣づけるコンテンツ
習慣づけるコンテンツの代表には、英語、中国語といった語学がありますね。
ネイティブの人は成長の過程で話し、使うことで習慣がついていますが、母国語でない人にとっては大変。
習得には繰り返し行って、手続き記憶を強化し、習慣づけていかなければなりません。
そして、eラーニングのシステムでブックマークし、時に振り返り、問題に再度挑戦して、定着させていくわけです。
(2)深く理解し、考えさせるコンテンツ
組織ではコンプライアンスやセキュリティのほか、ビジネススキルなど様々なコンテンツを提供します。
いずれも、受講者がただ受け流しては効果が上がりません。コンテンツの意味を深く理解し、自分のこととして考え、記憶に定着させてこそ、実効が上がります。
そこで必要になるのが、エピソード記憶に残すこと。コンテンツを、自分のこととして一度深く考える、ということで頭に定着させる必要があるわけです。
そしてこの定着にも、ブックマークほか、eラーニングのシステムが活用できますね。
いずれも長期記憶ですが、記憶定着のメカニズムを工夫することで、コンテンツから得られる効果・効率を上げられることが、ご理解いただけましたでしょうか。
このほかにも、記憶のメカニズムを利用した、eラーニング・コンテンツの提供方法には、色々なやり方があります。
システム技術とヒューマン・ブレーンとの調和、それを結びつける効果の上がるコンテンツ提供をぜひ実現してください。
eラーニングについてもっと知りたい!という方へ
人の記憶に残し、動かすための eラーニング・コンテンツ。とても難しいテーマです。
長年コンテンツとシステムを自社製作してきたノウハウの一部をご紹介しましたが、いかがでしたか?
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